37.事業性評価融資で変わること、変わらないこと!

平成29年11月
税理士・会計事務所様へのメッセージ
一般社団法人銀行融資プランナー協会
代表理事 田中英司

融資規模を拡大する動きです。歓迎しましょう。

平成27年度金融行政方針(15年9月)では、事業性評価について、「…担保・保証に依存する融資姿勢を改め、取引先企業の事業の内容や成長可能性等を適正に評価(事業性評価)し、融資や本業支援等を通じて、地域産業・企業の生産性向上や円滑な新陳代謝の促進を図り、地方創生に貢献していくことが期待される。…」と解説されています。

事業性評価について整理いたします。クライアントの資金調達・財務支援の指針としてご理解ください。

以下の1と2は、今後とも変わりません。

1.金融機関が保有する傘はすべて「日傘」です。変わりません。

良い会社(返済してくれる会社)に対して融資を行おうとする基本姿勢は変わりません。経営が、現状もうまく行っていない会社、将来もうまく行きそうでない会社に対する融資は実行されません。金融機関が有する傘は「雨傘」ではなく「日傘」※である点は変わりません。

※一部の制度融資・制度保証は除きます。

2.資本の充足状況(BS)と生み出すキャッシュフロー(PL)の金額、この二つの判断基準は、今後とも融資審査の礎です。

現行の評価方法は存続します。資本が充足していること、生み出すキャッシュフローが多いこと、これらの(現時点における)良い会社の条件は変わりようがありません。この二つは、これからも財務上の良し悪しの判断基準であるはずです。ただし、少額の資本正と資本負(債務超過)の差異で大きく結果が変わることはなくなるかもしれません。また、債務償還年数10年未満が正常先、このような画一的な判断も減るはずです。

上記の1と2は、融資可否判断の原理・原則です。これからも不変です。

 

以下の3は、少しずつ変わってきました。

3.担保・保証依存からの脱却が徐々に進みます。

担保と保証に依存する融資姿勢は徐々に改められるはずです。逆に、優良な担保や保証が有っても、事業の評価が悪ければ融資を受けられないことになります。この傾向は現時点でも顕在化してきました。

 

以下4の変化が、事業性評価融資の浸透で起きてくるはずです。今までの基準+4とご理解ください。

4.事業の将来性を見極めるための評価、事業性評価が導入されます。

「現状の財務状況は良くないが、将来を見越して融資を実行する」または、「現状の財務状況の程度を越えて、将来を見越して多額の融資を実行する」、この将来を見越しての部分が事業性評価です。

経営の現時点における結果を財務(資本の充足状況とキャッシュフロー)から判断して、良ければ融資可、悪ければ融資不可とする現行フローの変更が金融機関に求められます。現行フローに付加して、将来良くなる見込み、良くならない見込み、この判断を行う基準の構築が必要になります。

当該企業体の経営が将来どうなるか?これを見込むのは、現時点の財務を分析して判断するのとは比べ物にならないぐらい難解です。ただ、この新しいソリューションを開発・構築することを、地域金融機関は求められています。構築できなければ淘汰されるはずです。

 

地域金融機関が事業性評価を導入する方向性は、どの金融機関も概ね同じです。

(1)過去から現在までの流れ、将来の計画を踏まえて判断することになります。

○現時点の財務の良し悪しではなく、将来の経営全般を予測するために、過去から現在までの流れの把握・分析が必要になります。事業性評価結果の進捗確認や見直しのための継続的なモニタリングがますます重要になります。

(2)財務以外の企業情報を収集して判断することになります。

○会社の将来展望・ビジョン
○経営者の情報、経歴や強み、人となり、後継者の有無
○市場のおける有意性や競合状況
○商品・サービスの特徴
○会社の課題と強み・弱み

等々、財務以外の情報の収集・分析が必要です。

金融機関は、これらを総合的に勘案して事業性評価を行います。今までよりも、より深く対象企業を理解する必要性が生まれます。

(1)(2)を突き詰めて行く過程において、独自の事業性評価を開発することを地域金融機関は期待されています。この独自の事業性評価が、そのまま金融機関の個性となって、より広範な企業支援を行える金融業界が近い将来生まれることでしょう。一方、この過程で、多くの地域金融機関の淘汰・統合も進むようです。

 

まとめ…

現時点の財務状況及び担保・保証の有無で融資の可否を判断し、その可となる企業に集中して融資を行った結果、金融機関同士の(金利)過当競争が生じています。今後は、現時点の財務状況や担保・保証の有無のみに依存せず、それに付加して新たな融資基準(事業性評価)が構築されるはずです。容易ではありませんが、この取り組みは、融資規模を拡大する動きであることに間違えありません。歓迎すべき動きです。

一方、情報をより正確に提供できる企業が、事業性評価の対象になりやすくなるはずです。情報提供力・説明力が資金調達力とより相関するようになります。融資を受ける側の力量も問われます。

 

◎「税務」に「財務」を付加してクライアントを支援する「新・税理士」としては、

◆融資可否判断の原理・原則である1と2のスキルの習得に引き続き邁進してください。
より深く確実に習得してください。これらの原理・原則は不変です。
http://www.good-tax.jp/topics_sv-2.html

◆「資金繰り円滑化サービス(財務部長の代行業務)」でクライアントのモニタリング機能を充実させ、金融機関に対して適時継続的に情報提供を行える体制作りが有効です。
http://www.bankfinancial-planner.com/rule-detail6

◆クライアントの事業性を明確化するための目利き力・説明力の研鑽に励みましょう。
https://www.sp-keiei.com/集中受講プログラム/

 

上記が求められます。中長期目線で、確実に構築しましょう。

クライアントだけでなく、金融機関からも重宝される立ち位置を構築したいものです。

「新・税理士」のニーズは、ますます大きくなってきます。

http://www.bankfinancial-planner.com/aboutus-detail5

http://www.bankfinancial-planner.com/aboutus-detail7

以上


次は >>>38.事業性評価融資で変わること、変わらないこと!(続編)

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